このシリーズの2回目で芦ノ湖の大まかな地形とポイントについて事前に確認しておくと良いと申し上げましたが、今回は実際の釣行時におけるポイントの絞り方についてです。

まず、主なターゲットの湖における生態を考えつつ狙うポイントを考えたいと思います。

《レインボートラウト》
最初はレインボーです。


レインボーは、湖では基本的には回遊しながらエサを捕食しているように思います。芦ノ湖での一番のご馳走はワカサギですので、基本的にワカサギの群れとともに移動しているようです。また、ユスリカ等を捕食しているのかシャローエリアや水面直下の浅い層を回遊していることもあるようです。ある時、湖尻のボート屋さんから対岸の深良水門を目指しハーリングをしつつ移動していたところ、まさに湖のど真ん中(水深数十m)で40cmオーバーのひれピンのレインボーが掛かったことがあります。フローティングラインを使っていたので、この時のタナは、せいぜい水面から1m位だったろうと思います。この時ワカサギは水深15mラインで釣れていたので、いつもワカサギと行動を共にしているわけでもなさそうです。これは単なる推測ですが、水中の酸素は水面近くの方があると聞いたことがありますので、酸素の多いところを回遊しながらユスリカ等を捕食している可能性もあるのかなと思っています。

以上を踏まえ、私は、ワカサギの群れ等餌がある場所や酸素の多い場所(水の流れがあるところ)を狙うことを意識しています。
初期は、水通しのよい水深3~7mの浅い場所(シャローエリア)がまず狙い目です。底に水草(ウィード)が生えていれば、小魚が集まっている可能性がありますので特に有望です。また、底に変化があるところや急に落ち込んで深くなっているいわゆるカケアガリ等にも小魚が集まっている可能性があります。そうしたところをレインボーが回遊していると思われますので、これらの場所の近くにボートを止めて釣ることをお奨めします。

《ブラウントラウト》
次に、芦ノ湖ではブラウントラウトが魅力的なターゲットです。最近はブラウンが増えたのか、これまで以上にレインボーを狙っている時にヒットするケースが増えた気がします#59139;。


このため、それほど細かく考えなくても良いのかもしれませが、基本的には、ブラウンはレインボーと異なりあまり回遊していないように感じます。夕マズメを除き、底の岩などの物陰に潜んでエサとなるワカサギ等を待っているものと思います。特に初期は産卵後のワカサギがふらふら岸近くを泳いでいるので、その周りの沈み岩や倒れ木の陰に潜んでいるように思います。エンジン付きボートを使ってルアーで狙う常連の方はどこに岩が沈んでいるか分かっているので、ポイント、ポイントを手際よく探りながら移動していきます。手漕ぎボートでのフライの場合は、機動性がないため不利なところはありますが、岸釣りの方がいない岸近くの岩等のある浅場を選んでアンカーをおろし丹念に探ることをお奨めします。湖尻近辺では、ボート屋さんの北側のキャンプ場沖や早川沖のシャローエリアが狙い目です。また、南側では坊が沢や九頭龍あたりで実績があるようです。

なお、対岸(西岸側)にも深良水門や亀ヶ崎等のポイントはありますが、手漕ぎボートの場合は、風の強さや風向次第で移動範囲に影響が出ることを考えると、ボート操作や体力に自信がある方等慣れた方以外は難しいかと思いますので省略します。私も昔は無謀にも湖の真ん中の海賊船航路を横切って対岸に行っていましたが、最近は東岸側だけで十分釣りになるのでリスクを冒してまで行く必要はないと思っています。

《湖尻東岸のポイント》
私がいつもお世話になっている湖尻東岸のポイントを幾つかご紹介したいと思います。

湖尻では、ボート屋さんの桟橋の先端あたりが水深5~6mラインです。この桟橋沖や、ボート屋さんの北側の桃源台(海賊船桟橋)、飯塚、キャンプ場、早川水門といったポイントが実績があり、釣り人も多いところです。

・桃源台
こちらはボート屋さんに近く、私が必ず入るようにしている桃源台のポイントです。

ただし、観光シーズンになるとスワンボートや手漕ぎボートが近くに来るので、落ち着いて釣りが出来ないことがあります。

・キャンプ場
こちらはキャンプ場のポイントです。


こちらは広いので多くの方が入ることが出来て、沖合に係留して狙う方と私のように比較的岸近くに入る方と皆さん思い思いの釣りを楽しんでいます。スワンボート等は流石に来ませんので落ち着いて釣りを楽しむことが出来ます。

・早川
こちらは最近ご無沙汰している早川です。画像奥に水門が見えます。芦ノ湖の最北端に位置し基本的にはシャローエリアになります。


《魚探の使い方》
ここで魚探の使い方について、記したいと思います。まずは、魚探のセットですが、出船前に桟橋に繋がれている時にセットしています。ボートが安定しているからです。魚探は一般的に魚や底の状況等を表示する液晶パネルのついた本体とそこからコードで繋がれている振動子に分かれています。私は、本体をボートに座っている際に常に視界に入るところ(画像右下)に置いていて、そこからコードを伸ばして振動子を船尾の外側の平らな部分に吸盤をを使って取り付けています。


次に使用方法・目的です。私は2011年から魚探を使い始めましたが、魚探はターゲットとなる魚を探すというよりは、まずは水深や底の形状に変化がある等ボートを係留するための手掛かりを探すために使っています。また一旦ボートを係留してからは、魚が回遊している場所かどうかを判断するためと、回遊している場合はその遊泳層を知るために使っているというのが本当のところです。
因みに過去、魚探に反応が出た直後にゲットした魚は数匹に過ぎません#59138;。むしろ殆どの魚は魚探に反応が出ていない状況で釣っていますので、反応がないからといって油断しないようお気を付けください。理由は、魚探の探知する範囲が狭く、キャストの下手のC級の私でも魚探が反応する範囲の先をリトリーブしているからだと思います。また、回遊魚のスピードが速いため反応が出てからキャストしても間に合わないケースが殆どです。

《現実的な対応》
縷々記してきましたが、魚探がない場合など最初は、ボート屋さんで直前の情報を確認し、湖上でボートが集まっているところを狙うのが現実的だと思います。身も蓋もありませんが・・・#59143;。加えて竹杭等のストラクチャーがある場所を狙ってみるのも面白いかと思います。
また複数で行かれる場合は、ボート代は嵩みますが、別々のボートに乗ることをお奨めします。ボートは狭く複数で乗るとキャストに制約が生じるためですが、加えてそれぞれ手分けして異なるポイントに入りスマホで状況を伝え合うことで、効率的にポイントを絞れ魚と出会えるチャンスを増やすことが出来るからです。私は兄と行くときはこれを実践しています。

次回は、いよいよこのシリーズの最後として実践ノウハウについて記したいと思っています。

(続く)